キャスト
おしん:原良子
山城屋:松下達夫
佐々木主膳(仕置される輩):宮口二郎
高坂多聞:唐沢民賢
近江屋:入江慎也
要助:北原将光
念仏の鉄:山崎努
棺桶の錠:沖雅也
鉄砲玉のおきん:野川由美子
おひろめの半次:津坂匡章
中村りつ:白木万理
中村せん:菅井きん
中村主水:藤田まこと
あらすじ
江戸の雑穀問屋たちは大豆の買い占め計画で大儲けを目論んでいましたが、和泉屋だけがこの計画に反対しました。結果として和泉屋は不正行為の罪を着せられ、没落に追い込まれ自殺に至ります。和泉屋の娘、おしん(演じる原良子)は父の敵を討つため、色仕掛けを用いて雑穀問屋たちに近づき、二人を殺害します。
しかし、おしんの動きに警戒を感じた山城屋(演じる松下達夫)は、自身の安全を確保するために高坂与力を買収し、同心の中村主水(演じる藤田まこと)に護衛を依頼します。鉄(演じる山崎努)と錠(演じる沖雅也)は主水からの依頼で情報を収集し、鉄に色仕掛けで近づいてきたおしんが山城屋を狙っていることを突き止めます。
おしんは山城屋を独力で暗殺しようとしますが失敗し、捕えられてしまいます。絶望の中、おしんは「死にきれない、あとを頼む」と言い残し、主水たちに三十両を託して処刑されます。おしんの最後の願いと遺した金が、仕掛け人たちに仕掛けの仕事をさせることになります。
くわしい内容
ある出会い茶屋で、一組の男女が共に湯船に浸かっている様子から物語は始まる。女性は櫛を手にしており、突然、隣にいる男性を櫛で刺し、彼は驚きつつも命を落とす。
殺された男性の死体を町人が見守るなか、中村主水は男性の遺体から一筋の髪の毛をこっそり持ち去る。その後、彼はこの髪の毛を仲間の鉄に見せ、鉄はそれが若い女性のものだと指摘する。その場に偶然居合わせた犯人の若い女性がこの一部始終を目の当たりにし、気づかれたことに驚いて立ち去る。主水は事の次第を問うが、鉄は女性の魅力に言及するだけだ。
翌朝、主水とその家族は朝食をとるが、仏壇に手を合わせずに食事を始めようとする主水を、せんがたしなめる。しかし、彼らが朝の味噌汁を楽しみにしていたところ、大豆の高騰により、味噌と豆腐がないことを知り、失望する。
その後、主水は仲間たちと情報を交換し、江戸の雑穀問屋の構造や現在の状況について話し合う。生き残っている元締めがほんの一握りになっていることが明らかになる。
やがて、おひろめの半次が現れ、残っていた元締めの一人が死亡したと報告する。主水は先に店を出てしまう。鉄たちは、勘定が予想以上に高額であることに驚く。そのあとも無言で湯豆腐を食べる。
物語はさらに展開し、先ほどの女性がおしんという名前だと分かる。彼女は鉄と共に寝るが、彼女が事件の黒幕であることが、鉄がおしんの髪の毛を触ることで分かってしまう。おしんの動機は復讐である。鉄は黙っておくと告げる。
主水と仲間たちは山城屋の件を解決しようとする。山城屋は大豆の価格操作を行い、多くの人々を苦しめていた。山城屋に一人でおしんは復讐を成し遂げようとするが、失敗してしまう。主水に「あとをたのむ」と言い残して張り付けの刑になってしまう。
鉄、錠、主水、半次、おきんの4人は、山城屋にどのような仕置きを施すべきかについて協議を始める。この会合は、おしんの復讐をおこなうためだった。
夜桜を楽しむ山城屋に主水が、越後屋が殺された状況に疑問を呈する。「越後屋を殺したのは護衛の侍か?袈裟斬りの切り口がそっくりだ」と主水が問い掛ける。
突如、おきんが花札をやったあと「今夜はお前が死ぬ番だ」と言って逃げる。これが合図となり、仕置きが開始される。
鉄と錠は追跡を開始し、次々と侍たちを倒していく。彼らはそれぞれ得意とする技で敵を仕留め、鉄は「越後屋の殺害を、おしんに擦り付けられたのは山城屋の仕業だ」と言う。
主水は山城屋を捕えるよう鉄に命じるが、実際には彼らは協力して侍を倒し、山城屋を捕縛する。山城屋は鉄の特技である骨を外す技により、再び立ち上がれないほどのダメージを受ける。
その後、彼らは山城屋に対し、これまでの行いを全て白状させ、大豆の買い占めによる利益を放棄させ、越後屋の殺害も自身の行いであると文書に記させる。
かわら版を通じて山城屋の罪が公表され、山城屋は張り付けの刑に処される。大豆の市場が一変し、価格が暴落することにより、山城屋は財産を失い、奉行所の高坂へも影響力を行使できなくなる。山城屋の経済的な基盤は崩壊し、彼の計画も頓挫する。
感想
冒頭はいきなり濡れ場のシーンからはじまります。ショッキングの殺しのシーンではじまり、美しい女性が出てきて、印象付けられます。
そのあと、髪の毛という証拠から鉄の個性が引き出されます。鉄の個性とは、手が異常に繊細であること、女癖が悪いことなどです。それらがエピソードを通じて描かれます。
また主水の個性も引き出されます。賄賂によって高坂与力に買収されて、悪者の護衛をすることになり、それを通じて、結局はおしんという殺しの犯人の女性を守れずに、張り付けの刑や浪人に襲われることを見逃してしまいます。
最後に山城屋は仕掛けによって復讐されるのですが、そこまでの展開にそれぞれ登場人物の個性が鮮やかに描かれています。