第3回 はみだし者に情なし

キャスト

 山崎努(念仏の鉄)
 沖雅也(棺桶の錠)
 野川由美子(鉄砲玉のおきん)
 白木万理(中村せん)
 常田富士男(亀吉)
 茶川一郎(熊さん)
 山本耕一(道安)
 生井健夫(田口)
 谷口完(三國屋)
 津坂匡章(おひろめの半次)
 神戸瓢介(目明し六蔵)
 時美沙(おせき)
 唐沢民賢(高坂多聞)
 高松英郎(天神の小六)
 溝口繁(家老小笠原頼母)
 松田明(囚人)
 嵐冠十郎(人形風の役者)
 乃木年雄(湯屋の親爺) 
 益尾久子(おりん)
 高畑喜三(牢番)
 笹吾郎(目明し文蔵)
 入川保則(同心島本)
 菅井きん(中村せん)
 藤田まこと(中村主水)

あらすじ

目明かしの六蔵は、女湯を覗き見しては女性を無理やり奪い、彼女たちを従わせて北町奉行所の与力高坂多聞や同心島本に引き渡していました。上州屋の娘も六蔵に乱暴され、その悲しみから自ら命を絶ちます。

ある夜、六蔵は女風呂を覗き見し、中の女性たちに失望していましたが、一人の女性に目を引かれます。その女性、おりんに対して六蔵は十手をかざし、寺に誘って乱暴しようとします。しかし、隻眼の浮浪者亀吉が覗こうとするところに、鉄が現れ、六蔵の首を絞めておりんを救い出します。鉄は骨はずしの技を使い、六蔵を殺害します。

舟の中では、仕置人たちが集まり、鉄、おきん、半次が上州屋から得た後金を分け合います。鉄は「人でなしはどんどん殺してしまっていい」と語り、去っていきます。

一方、高坂は目明しの殺害を知り、部下たちに犯人を必ず捕らえるよう厳命します。島本は亀吉を捕え、拷問にかけますが、亀吉は何も見ていないと主張します。それでも、島本は亀吉の眼を蝋燭の炎で潰してしまいます。

高坂と島本は豪商三國屋の催しに参加し、そこで女性たちが虐待される光景を楽しみます。三國屋は慈善家の顔を持ちつつ、裏では女性を拉致して嬲っていたのです。おせきという女性もその犠牲となり、島本に殺害されます。

主水は鉄、錠、おきん、半次が奉行所の調査を受けることを警告しますが、島本の拷問に耐えかねた亀吉がついに鉄が六蔵を殺害したことを吐露します。危機を感じた主水は、観音長屋で鉄と錠を捕えますが、島本の残酷な拷問に耐えながらも、彼らは耐え続けます。

小六は、亀吉の訴えを聞き入れ、島本への復讐を誓います。主水もまた、三國屋屋敷で見世物にされた熊さんの証言を得て、島本が三國屋の催しに関与していたことを知ります。島本は釈放された鉄と錠を再び襲いますが、逆襲され拉致されます。

最終的に、仕置人たちは小笠原頼母、高坂、島本、三國屋らを捕らえ、彼らに制裁を加えます。彼らは目を潰され、胸に火種を押し付けられ、錯乱状態で裸踊りをさせられます。その後、亀吉の恨みを晴らすため、仕置人たちは高貴なお方たちにも同様の制裁を行います。

詳しい内容

目明かしの六蔵は女湯を覗いて娘たちを無理やり奪い、言うことを聞かせて強請り、北町奉行所の与力高坂多聞や同心島本に引き渡していた。上州屋の娘も六蔵に乱暴され、そのことを悲しみ自ら命を絶った。

「ロクな女いねえな」

六蔵は女風呂を覗いていると、中の女性たちに落胆したが、一人の女性に目を引かれ、風呂屋の親爺に名を尋ねる。

その女性の名はおりんだった。六蔵は十手をかざしておりんに「聞きたいことがある」と問い、寺に誘って乱暴しようとする。隻眼の浮浪者亀吉が驚喜して覗こうとする。

そこへ鉄が現れて、六蔵の首を絞め「早く逃げろ」と叫び、おりんを救う。

鉄「おめえを仕置してくれって。そういう訴えが出てるんだ。」

鉄は骨はずしで六蔵を殺害する。亀吉は無言で去っていく鉄を見つめる。

舟の中

錠が仕置人たちの集まる場所を作っていた。鉄、おきん、半次が集う。おきんは依頼者の上州屋から得た後金を払い、「死んだ娘も浮かばれます」という依頼者の言葉を伝える。

鉄「人でなしはどんどん殺しちまっていいんだよ。十手を笠に女漁りをされたんじゃ、こっちに女が回ってこねえ。」

鉄は後金のうち二両を取って去っていく。

おきん「あいつだけ二両?」

半次「な」

おきん「あたしも骨外し習お」

主水は下着を洗濯していた。りつとせんは高坂の奥方に挨拶に行く。食事は米と梅干しだけで主水は不満を感じ、魚を見つけて調理しようとするが、田口から目明し殺しを告げられる。高坂は部下の同心たちを集め、犯人逮捕を厳命する。

高坂「一つだけ申しておくが、十手持ちが殺されては奉行所の面目が立たん。犯人は草の根を分けても探し出せ!」

島本ら部下が「は」と返事し一礼する。

高坂は仕置人を放置しないと宣言し、主水はその眼光に恐怖を覚え視線をそらす。

島本は亀吉を捕え、殴る蹴るの拷問を加える。「乞食仲間にお前が殺しを見たと語ったことはわかってるんだ!」と問い詰め、凄惨な拷問を続ける。隻眼の亀吉は見ていないと主張する。

島本は蝋燭の炎で亀吉の眼を潰し「おめえは見えねえ筈だな」と冷笑する。唯一の目を潰された亀吉は「あち!あち」と熱さと激痛で苦しみのたうち回る。

高坂と島本は三國屋の催しに参加する。蝋燭問屋の豪商三國屋は表面的には慈善家だが、裏の顔は変態であり、道安が女性を洗脳し、三國屋たちはその女性を拉致して嬲っていた。六蔵も三國屋の配下の岡っ引きであった。

向島の催しでは紀州藩の家老小笠原頼母が登場し、女性のおせきが蝋燭で高坂や島本や三國屋に虐待される光景を見て喜んでいた。

おせき「三國屋!私はお前が誰だか知っている。訴えてやる!」

おせきは逃げるが島本に取り押さえられ、庭の池に顔を押しつけられ殺害される。

小笠原は「もっとやれ!」と驚喜する。

主水は船の中の寄場で鉄、錠、おきん、半次が自分に隠れて仕置をしたことを咎め、奉行所の調べが進んでいることを告げ四人に警告する。

島本の冷酷で執拗な拷問に遭い、亀吉は遂に六蔵殺害の犯人が鉄であることを吐いてしまう。

危機を感じた主水は、観音長屋において自分の手で鉄、錠を捕える。

長屋の男熊さんは、島本を見て彼の顔を思い出す。奉行所において鉄と錠は、島本から残酷な拷問と虐待を受ける。島本は煙草の火種を鉄の禿頭に乗せる。

鉄「なんてことしやがんだ!禿になるじゃねえか!」

島本は錠を見て冷笑し「おめえも吸いてえか?」と言って錠の鼻孔に熱い煙管を入れる。熱さで苦しんでも錠は笑いを浮かべ、島本はますます怒る。牢内で錠は主水に裏切られたと怒るが、小六が諌める。小六は錠に対して「中村主水ってのは喰えねえ男」と言い、確かめて裏切ったのではないと強調する。牢番に対して小六は「用を足す」と言って外出することを告げる。牢番は「ごゆっくり」と送り出す。

小六は主水と共に亀吉の訴えを聞く。

亀吉「すまねえ。俺が吐いてしまったんじゃ。親分、聞いてくれ。俺はたった一つの片目をあの同心の島本って奴に潰されてしまったんだ。これじゃあ二度とお天道様を拝めやしねえ。この金はな、俺が二十年貰い貯めた金なんじゃ。水呑百姓が江戸で食い詰めて乞食しながら貯め抜いてそれでもいつかは田舎に帰って少しの田圃でも買うて百姓に戻ろうと。ただ、それだけで貯めた金なんじゃ」

亀吉は包帯を取って潰された目を見せる。

亀吉「これじゃそれも叶わんよ。どうかこの金で俺の恨みを晴らしてくれ。」

小六「引き受けたぜ。お天道様が拝めねえってことがどれほど辛いことか。その同心野郎に思い知らせてやる。」

主水はおきん、半次から熊さんを紹介される。熊さんは「恥ずかしい」と照れながら向島の三國屋屋敷で見世物にされたことを語り、その席に島本がいたことを報告する。三國屋は六蔵が殺害され、「女が手に入らなくなった」と嘆き、道安に催しの為の女性を手配するように求める。おきんは囮となって道安の元に潜入し催眠術を受ける。

島本は鉄、錠を虐待するが、二人が耐え忍ぶことにいらだって立腹する。主水から「向島でのお楽しみ」を指摘され驚愕し対応を高坂に相談する。

高坂「二人を釈放しろ!」

島本「釈放して?」

高坂「消すんだ」

道安はおきんに「一晩だけじゃ」と言い聞かせる。

島本は、鉄、錠を敢えて釈放する。小六は鉄、錠に「こいつは罠だ」と注意する。

夜。島本とその配下は錠、鉄を襲うが逆襲される。

鉄は覆面の男を平手打ちにしてその覆面を取り、島本と確認し拉致する。

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